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にっき
日記
宮本 百合子
22 一九三八年(昭和十三年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,910 字 · 14 页
一月十二日
それから又出かけたら、工合よし。六時頃かえりかけていたら、ガラス戸の外に女客あり。いやがってあわてて送って来て、何のことか親類のお嬢さんを一寸送って、だって。可笑しい。
いろいろ話す。つるやとしようという話。夫婦でいろいろ話せるという方の面が単純に感じられた。話せるという条件が何もプラスだけではないのに。いつか夜中バクハツのとき、ハッと目をさまし、あら一寸何でしょう、何だろうというとたんの夫婦の近さというものを感じた。それに似ている。女の心の滑稽さ、そして又ただ滑稽と云い切れぬもの。
一月十二日(水曜)
ひどい風が吹いて寒い。だが空がいかにも碧い。一点の雲もなく碧くて日光がキラキラしている。急に思い立って上り屋敷から豊島園までのって行って見た。かえりにバス。十一寺前というところがある。浄土宗の寺ばかり両側に並んだところ、つき当りはカラリとした墓地で、むこうに松の丘あり。いかにも珍しい。ノドがいたくなったのでかえった。頭の中些かさっぱりとする。生理的サッパリだから力弱し。かえって手紙の返事をかく。大変感情のニュアンスの濃いものになった。
〔欄外に〕
第三信。