轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こよみ

暦

壺井 栄

「新潮」1940(昭和15)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,332 字 · 112 页

青空文庫

いねはいねでろくに菓子も買ってやれない時代に育つクニ子への不憫さから、我身をけずる結果を知りながらいつまでも乳を与えた。今まで八人の子供たちが一年置きに生れる妹のために自然にゆずっていたのとはちがって、クニ子は末っ子の特権のように出もせぬ乳にぶら下り、いねはまたそれで埋合せをつけるような気持で、しなびた胸をはだけていた。それでもクニ子が八歳になり、今年から学校ということになると、

「先生に笑われる」と、クニ子は自分からやめた。

四月一日、その日、クニ子は早くから鞄を肩にかけて母親を急きたてた。

「おいや、嬉しいこっちゃなあ」

いねは自分の嬉しさもこめて、急きたてられるままに手織の絣の着物に着かえ、中幅帯を引上に結んだ。嫁入る時持ってきたいねの母親の自慢である着物が三十年後の今日たいして派手にもならず自分の身に合っているのが不思議であった。娘の時、藍から作って、母親と二人で染めたその藍の色がよく枯れて、大事に着たせいか、これから先もまだ何年着られるか分らないほどしっかりしている。そんなことまでが何か自分と深い関りでもあるようにも考えられ、クニ子と同い年の子を持つ村の若い母親たちに交って、末っ子を小学校にあげることが、何か自分にもこれから、今までと異った新しい生活がやってきそうなはずんだ気持でクニ子と手をつない