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あぶらじごく

油地獄

斎藤 緑雨

「国会新聞」1891(明治24)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,624 字 · 69 页

青空文庫

面目の見せつけに、かねて執心の厚かった浜田の御前へ春泉の内儀からすがらせて、今度いよ/\廃業するとの記事であった。貞之進はその始終を読むか読まないに、はや髪の毛の逆立つようで、両手を新聞の上に突いてじり/\と睨んで居る間に、いつかその新聞紙は二つに裂かれて居た。

嘘であるべく願って居た疑いの方からすれば、それが実であったゞけで小歌の廃業について怪む所はないが、実であるべく祈って居た打消しの方からすれば、それが全く嘘であったので、約束したでもないことが心変りかのように思われ、為に貞之進はほとんど狂する如くで、外に忿怒の色の現れるだけそれだけ、内に沈欝することのます/\多きを加えた。その日貞之進は頭から蒲団を被って、病気と云って学校へも行ず打臥して居たが、点燈頃むっくり起て戸外へ出で、やがて小さな鉄鍋に何やら盛って帰って来て、また床に這入って夜の一時とも思う頃徐々頭を挙げ、忘れて居たように急に火鉢へ山の如く炭を積んで、机の上にあった雑誌様のものを取ってそれを煽り立って居たが、活々と火のおこるを待って前の鍋を載せたのを見ると、中に盛られた