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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

吉川英治『治郎吉格子 名作短編集(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:治郎吉格子、増長天王、醤油仏、八寒道中、野槌の百、銀河まつり、無宿人国記、雲霧閻魔帳。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,609 字 · 362 页

青空文庫

「かりにも、鶏や、猫たあちがう女一匹、それを入札にして、売りとばすといやあ、お立会の旦那がたの中には、さだめしこちとらを、無情な奴、畜生同様と、おさげすみもござんしょうが、これには仔細のあることで……」

と、一昨日のばくち場一件を、誇張して、いい触らした後、

「そういう次第なんで、相手の二本差が、ここへ名乗って出て来れば、相当な、あいさつをして、事の始末をするつもりでござんしたが、掻っさらいも同様ないかさま浪人、いくら待っていても、来る様子はねえ。――で、好むところではござんせんが、やむを得ずに、ここで女を入札にかけて、高値のお人へお渡し申します。――後の苦情という御心配もござんしょうが、それは、ここに立会っている青梅の勘三、福生の部屋の者一同、ならびにかく申す羽村の留が、たいこ判を押して、後々一切、おひきうけ致しての入札でござんす。飯焚きにでも、乳母にでも、お妾にでも、おつかい途のある旦那がたは、どうか安心して――」

と、留のことばが終ると、

「じゃ、札箱を切りますから」

と、青梅の勘三が立って、念のために、もういちど群衆を見まわした。

立会人として、博労の顔役だの、田舎茶屋の亭主だのが、順に名のった。