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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

雷門以北「東京日日新聞 夕刊」1927(昭和2)年6月30日~7月16日<br>吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年2月<br>続吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年3月<br>隅田川両岸「中央公論」1935(昭和10)年9月<br>浅草田原町「三田文學」1912(明治45)年2月<br>あやめ団子「花形」1920(大正9)年8月<br>相模屋の路次・浅倉屋の路次「新演藝」1920(大正9)年8月<br>浅草の喰べもの「中央公論 夏期特別號」1920(大正9)年7月<br>夏と町々「時事新報 夕刊」1929(昭和4)年6月1日~30日<br>絵空事「新潮」1932(昭和7)年3月<br>一年「東京新聞」1946(昭和21)年4月15日<br>浅草よ、しずかに眠れ「苦樂」1948(昭和23)年2月<br>夜店ばなし「婦人公論」1931(昭和6)年7月<br>除夜「週刊朝日」1930(昭和5)年12月28日號<br>正月「婦人公論」1932(昭和7)年1月<br>水の匂「文藝春秋」1941(昭和16)年7月<br>町々…… 人々……「別冊文藝春秋」1955(昭和30)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 页

青空文庫

、「貸浴衣汗雷」の真野屋徳兵衛実は神道徳次と御殿女中竹川実はすばしりお熊との茶屋の二階での馴れそめのくだりをみ、ついでに次ぎの真野屋のゆすりを約半分……とはッきりそういってしまっては「ほんの一トまく覗いただけ」とまえにいったのがうそになりますが、とにかくそれだけみて時計の七時すぎたのに驚いていそいで外へ出ました。――さすがにもう暮色は感じられるものの矢っ張まだ明るい。……折から上げ汐の、たッぴつにもりあがった水の、つながれた大きな船の岸より高くたゆたに浮んでいる川のふちをあるいて、狭いその裏みちづたいに不動さまの境内……あのしずかな梅ばやしの中へ入りました。――黄昏の、月の出汐の、人っ子一人通らない、うそのようにしずまり返ったそのけしきをいまなお仄かに夢のようにおぼえています。――「深川」というといまでもそのけしきがなつかしく眼に浮びます……

そのときの深川座に出ていた役者ですか?――おぼえていますとも、ええ。――桃吉だの、栄升だの、蝶昇だの。……桃吉は後に高麗三郎になり、栄升は後に莚十郎になり、蝶昇は後に吉兵衛になりました……高麗三郎も吉兵衛も死にましたが、莚十郎はまだ達者で、去年左団次が露西亜へ「カブキ」