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かいじょうはつでん
海城発電
泉 鏡花
「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页
」
いと潔く謂放ちぬ。その面貌の無邪気なる、その謂うことの淡泊なる、要するに看護員は、他の誘惑に動かされて、胸中その是非に迷うがごとき、さる心弱きものにはあらず、何等か固き信仰ありて、たといその信仰の迷えるにもせよ、断々乎一種他の力のいかんともし難きものありて存せるならむ。
海野はその答を聞くごとに、呆れもし、怒りもし、苛立ちもしたりけるが、真個天真なる状見えて言を飾るとは思われざるにぞ、これ実に白痴者なるかを疑いつつ、一応試に愛国の何たるかを教えみんとや、少しく色を和げる、重きものいいの渋がちにも、
「やましいことがないでもあるまい。考えてみるが可。第一敵のために虜にされるというがあるか。抵抗してかなわなかったら、なぜ切腹をしなかった。いやしくも神州男児だ、膓を掴み出して、敵のしゃッ面へたたきつけてやるべき処だ。それも可、時と場合で捕われないにも限らんが、撲られて痛いからって、平気で味方の内情を白状しようとは、呆れ果た腰抜だ。それにまだ親切に支那人の看護をしてな、高慢らしく尽力をした吹聴もないもんだ。のみならず、一旦恥辱を蒙って、吾々同胞の面汚をしていながら、洒亜つくで帰って来て、感状を頂きは何という心得だ。