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かいじょうはつでん
海城発電
泉 鏡花
「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页
こう、おいらの口は浄玻璃だぜ。おいらあしょっちゅう知ってるんだ。おい皆聞かっし、初手はな、支那人の金満が流丸を啖って路傍に僵れていたのを、中隊長様が可愛想だってえんで、お手当をなすってよ、此奴にその家まで送らしておやんなすったのがはじまりだ。するとお前その支那人を介抱して送り届けて帰りしなに、支那人の兵隊が押込んだろう。面くらいやアがってつかまる処をな、金満の奴さん恩儀を思って、無性に難有がってる処だから、きわどい処を押隠して、ようよう人目を忍ばしたが、大勢押込んでいるもんだから、秘しきれねえでとうどう奥の奥の奥ウの処の、女の部屋へ秘したのよ。ね、隠れて五日ばかり対向いで居るあいだに、何でもその女が惚れたんだ。無茶におッこちたと思いねえ。五日目に支那の兵が退いてく時つかめえられてしょびかれた。何でもその日のこった。おいら五六人で宿営地へ急ぐ途中、酷く吹雪く日で眼も口もあかねえ雪ン中に打倒れの、半分埋まって、ひきつけていた婦人があったい。謂ってみりゃ支那人の片割ではあるけれど、婦人だから、ねえ、おい、構うめえと思って焚火であっためてやると活返った李花てえ女で、此奴がエテよ。