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かいじょうはつでん

海城発電

泉 鏡花

「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页

青空文庫

「一体、自分が通行をしておる処を、何か待伏でもなすったようでしたな。貴下方大勢で、自分を担ぐようにして、此家へ引込んだはどういうわけです。」

海野は今この反問に張合を得たりけむ、肩を揺りて気兢いかかれり。

「うむ、聞きたいことがあるからだ。心得はある。心得はあるが、まず聞くことを聞いてからのこととしよう。」

「は、それでは何か誰ぞの吩附ででもあるのですか。」

海野は傲然として、

「誰が人に頼まれるもんか。吾の了簡で吾が聞くんだ。」

看護員はそとその耳を傾けたり。

「じゃあ貴下方に、他を尋問する権利があるので?」

百人長は面を赤うし、

「囀るない!」

と一声高く、頭がちに一呵しつ。驚破と謂わば飛蒐らんず、気勢激しき軍夫等を一わたりずらりと見渡し、その眼を看護員に睨返して、

「権利は無いが、腕力じゃ!」

「え、腕力?」

看護員はひしひしとその身を擁せる浅黄の半被股引の、雨風に色褪せたる、たとえば囚徒の幽霊のごとき、数個の物体をわして、秀でたる眉を顰めつ。

「解りました。で、そのお聞きになろうというのは?」

「知れてる! 先刻から謂う通りだ。なぜ、君には国家という観念が無いのか。