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かいじょうはつでん

海城発電

泉 鏡花

「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页

青空文庫

痛いめを見るがつらいから、敵に白状をしようと思う。その精神が解らない。(いや、そうかも知れません)なんざ、無責任極まるでないか。そんなぬらくらじゃ了見せんぞ、しっかりと返答しろ。」

咄々迫る百人長は太き仕込杖を手にしたり。

「それでどう謂えば無責任にならないです?」

「自分でその罪を償うのだ。」

「それではどうして償いましょう。」

「敵状を謂え! 敵状を。」

と海野は少しく色解てどかと身重げに椅子に凭れり。

「聞けば、君が、不思議に敵陣から帰って来て、係りの将校が、君の捕虜になっていた間の経歴に就いて、尋問があった時、特に敵情を語れという、命令があったそうだが、どういうものか君は、知らない、存じませんの一点張で押通して、つまりそれなりで済んだというが。え、君、二月も敵陣に居て、敵兵の看護をしたというでないか。それで、懇篤で、親切で、大層奴等のために尽力をしたそうで、敵将が君を帰す時、感謝状を送ったそうだ。その位信任をされておれば、いろいろ内幕も聞いたろう、また、ただ見たばかりでも大概は知れそうなもんだ。知ってて謂わないのはどういう訳だ。あんまり愛国心がないではないか。