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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

を与えようとしたことはよく知られているだろう。そうした場合に「マルクス主義」と呼ばれているものは併しながら、多くの「哲学者」がそう思い込んでいるように、マルクス主義的社会理論(唯物史観・史的唯物論)のことであり、マルクス主義とは、自然からも思惟からも切り離された歴史的社会という、この一部分に関してだけ通用する理論だと仮定されている。そういう仮定から出発すれば、アードラーの云う通り、マルクス主義なるものは唯物論とは何も関係がない、ということになるのは恐らく必然的である。要するにマルクス主義なるものは、カントの批判主義を社会理論に於て補足するカント哲学の一部分(社会哲学?)にしか過ぎない。マルクス主義は唯物論ではない、即ちマルクス主義はマルクス主義ではない。マルクス主義は哲学的に「基礎づけ」られるとマルクス主義ではなくなる。所謂哲学的基礎とはそうしたものなのである。

哲学は原理の学問だ、それは一切の特殊な偶然的な諸事実の領域に応用されるべき純粋な本質の学である。処がマルクス主義は主として社会乃至歴史(そしてやや不当にも自然や論理にさえ夫が無批判にも拡大されたのだ)に関する特殊な認識に過ぎない、夫は現代の問題や時事問題、又政治問題などという、一つの応用哲学――恐らく一種の実践哲学――にぞくする課題を解くために