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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
例えばM・ハイデッガーは人間という存在者を、又彼の拠って立っている古典であるアリストテレスは自然という存在者を、背景に持っており、そのような存在者からその本質・実体・という抽象態を取り出して、その分析を存在論の体系にしているのである。だから存在論は寧ろ当然なことながら、「存在すること」に関する理論であるよりも、却って元来「存在者」に関する理論であったのであり、それ故にこそ初めて所謂「存在すること」の理論にもなれたわけなのである。
「存在すること」に関する理論は、存在論であるよりも寧ろ論理学のものでなくてはならないだろう。そこでは存在者に就いて、それが存在するものである所以の「存在」という概念を、そうした範疇を、まず第一に、と云うのは「存在者」を分析するための方法から云って第一番に、検討しなければならない。
さて、何物かが――それは今の処抽象的に云えば何でも好い筈だが――存する又はしない、何ものが存在者である又はない、そういうこと自身を決定する処の、存在という範疇、それがすでに物質という範疇に他ならないのである。但し、この意味での物質は決して物質の意味ではない。