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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

意識は物質から発生する。意識と物質とを区別するものも亦、物質から発生する、というのである。

意識=イデオロギーと物質=存在との、弁証法的連関は一応右の通りである。

三

イデオロギーという言葉には様々な意味があるように見える。併し夫は一通り、已に与えたイデオロギー概念の説明を用いることによって容易に配列出来る。

第一にイデオロギーは物質的存在の上に立つ上層建築を意味した。処がかかるイデオロギーの性質として規範性・価値性・が挙げられた。処で物質的存在たる生産諸関係に矛盾(但し存在的矛盾)がある限り、夫はこの上層建築へ矛盾(但し論理的矛盾)を或る意味に於て反映せざるを得ない。価値性一般がなぜ茲で特に論理によって代表されるかは、論理なるものの説明から判ることだ。或いは二つ以上のイデオロギエンの間の対立闘争として、又は某イデオロギーと物質的存在との外部的撞着として、又は一イデオロギー内の理論的命題の内部的自己撞着として、この存在上の矛盾が論理的に即ち価値的に反映するのである。今、ブルジョア社会に於て尖鋭化した生産関係の矛盾が支配している時、支配者の支配的イデオロギーはこの存在上の矛盾を隠蔽しようとする、そして又そのためには更に自分のもつイデオロギー自身の論理上の矛盾をも隠蔽せねばならないのは尤である。