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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

処で自然科学的方法はどういう要素から成り立っているか。

第一の要素は範疇又は範疇組織である(範疇組織は論理乃至論理学と呼ばれる)。自然科学は続いて述べるだろうように、色々の方法手段を用いる。だが人間の一切の思考や感動や行動がそうなのだが、自然科学的考察や研究に於ても、いつも何かの諸概念を手段として用いなければ一歩も進むことは出来ない。普通の諸概念は割合任意なもので、それだけ浮動性を有ったものであることが事実だが、概念の内でも根本的なものになると、夫は比較的定着されたものであり、従って又普遍的な通用性を有ったものになる。だから又本当に節度ある発展が出来る概念は、こうした客観性を持った根本概念の他にはない。この根本概念が即ち範疇なのだが、而も範疇は一つずつでは何の客観性を有つものでもない。範疇のノッピキならぬ客観性は範疇組織=範疇体系の内で各範疇が占める抜き差しならぬ部署又は位置から来る。で、こうした範疇組織を用いて一般に吾々は思考し感動し又行動するのであるが、その内で、自然科学にとっては自然科学特有の範疇組織が歴史的に与えられている。例えばエーテルという範疇は物理学的範疇組織の上で嘗て必要になったものであるが、やがて物理学的範疇組織の発展の結果、不用に帰しつつある根本概念である。