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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
実験は要するに経験の或る種の延長に過ぎない。
処で世界観とは、その原始型を取って見れば、世界に関する人間の感性的な生活経験の総括の他ではなかった。で、原始的な段階での実験という方法要素は、同じく原始的な段階に於ける世界観を規定するものだと云うことが出来る。そしてこの関係は、同様に、高次の実験と高次の世界観との関係に押し及ぼされていいだろう。実際、人間の認識の歴史に於て、世界観を根本的に変革し得た唯一の武器は、実験にあったことを忘れてはならぬ。ルネサンスはその意味で、思想史のコースに於ける最大のカーブであった*。
* 研究方法として実験に着眼した始めは十三世紀に溯る。Dietrich von Freiberg (1250-1310)、Petrus Maricourt(-1269-)、Roger Bacon (1210-1294) 等がその先駆者で、ダ・ヴィンチ、フランシス・ベーコン、ガリレイ等は之に続くのである(H. Dingler, Das Experiment, 1928. 参照)。
逆に世界観が実験の形態や内容や動機を決定する側は、あまり著しくはない。