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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
自然科学に対する数学的操作の適用が、技術的なものに過ぎぬと考えられた点からも判るように、数学的操作が一般的な世界観に与える決定関係の方も極めて間接でしかないだろう。世界観を揺り動かすものは、量子力学や相対性理論に於ける数学的操作の力ではなくて、量子力学そのもの・相対性理論そのもの・に他ならない。
一般的な世界観に対してはそうなのだが、併し特殊な部分的で輪郭的な世界観であった世界像に対しては、之に反して、数学の適用が決定的な影響を有っていることが能く知られている。一方に於て数学的操作の適用が世界観を決定するに際しては殆んど無力であったに拘らず、他方それが世界像を決定するに際しては著しく有力だというこの関係は、M・プランクなどが世界像という概念を、日常経験的な世界の観念(それがやがて世界観となるのだが)から峻別する動機にもなっているので、大体に於てカント風の構成主義を採用しているプランク達(アインシュタインもそうであるが)によれば、「物理学的世界像」はその超主観化・測量化・数学化・によって、世界に関する常識経験内容とは独立な客観的統一を有つと考えられている。