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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

現代唯物論・マルクス主義的唯物論・によれば、存在とは、主観――意識・自由意志・等々――から独立に、客観的に、運動する処のものである。存在のこういう最も根本的な一般的な規定を捉えて、物質と呼ぶ。茲で物質というのは、物理学的乃至生理学的唯物論に於てのような一定の科学的範疇によって制限された物理学的物質や、同じく又夫に帰着する処の、単純に自然である処のものとしての物質ではない。物質とは存在自身を云い表わす哲学的範疇である。存在ということ、又は存在するということが、物質ということなのである。――この物質が唯物論の最も広範な又最も根柢的な根拠に他ならない。運動する――客観的な――物質を以て存在を規定する処のこの普遍的な唯物論は、前にも云った通り、機械論的でもなければ形而上学的でもなかった。であるからそれは正に弁証法的なのである。――さて吾々はここで第二のモメントである弁証法に這入る。

マルクス主義的唯物論――それが弁証法的唯物論であった――によれば、物質は弁証法的性質を持っている。と云うのは、物質が運動するに際して従う処の法則がとりも直さず弁証法なのである。