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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
――資本主義に固有な性質であり、又嘗ては資本主義制度の下に最も歓迎されるべき方針であった処のかの自由競争は、その競争の当然な結果として、一切の経験的動揺のある毎に、比較的無力な資本家を倒して比較的有力な資本家を利せねばならぬ。かくて多くの資本家はブルジョアジーの隊列から落伍し、その資本は少数の大資本家の手に集中する。一面に於てこの結果であり、他面に於て之を促進する原因であるものは、カルテルやトラストやコンツェルン等の独占諸形態である。自由競争は自由競争の名の下に、事実上自由競争の正反対的である処の、独占にまで転化せざるを得ない。そして独占の最後の形態がブルジョア国家による処のそれなのである。すでに、その機能はブルジョアジーが之に依ってプロレタリアートを統治するオルガンであることにあったが、それの経済的表現が取りも直さず独占の機能となる。laissez passer, laissezfaire の方針に基いて、経済に対する国家の干渉を斥けることをその本来の本質とした経済上の自由主義に立つ資本主義は、忽然として各種の国家主義にまで豹変せざるを得ない。