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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

――文化的自由主義の一つのハッキリした逸脱は恐らく「日本ペン・クラブ」だろう。之は初め何等かの社会意識に基いた組織ででもあるように想像されたものだが、そしてその想像は国際的なペン・クラブが多少ともそういう性質を持っている限り無理ではなかったのだが、併しその名も示す通り国際的なペン・クラブの日本支部ではなくて、日本一国主義ペン・クラブであったのであり、外務省文化事業部や国際文化振興会の着色を著しく蒙ったものであることが、その後の客観的な印象のようだ。こうなると、この場合の文化的自由主義は、今日の社会与件の上では、もはや自由主義の機能ではなく却って多少ともその反対の機能に帰する、と云わざるを得なくなりはしないだろうか。之を文芸懇話会と対比並置して見ることも、だから、相当興味があることだろうとさえ思われるのである。

処で二・二六事件以後、流言飛語の類が簇出したと云われていることを注意しよう。之は或いは現下に於ける民衆の本能的なジャーナリズム形態(表現報道現象)であるかも知れない。だが恐らくこの現象は事件以前から相当に発達していたものではないかと想像される理由があるのだ。