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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

――そしてドイツ観念論による自由概念の一時的な総決算がここから始まるのである(所謂「大学の自由」もこの自由の一部分である処の「学の自由」から惹き出された。ドイツ大学のいくつかは文化の自由というイデーと共に建設された。わが国の帝大及び其の他の諸大学も亦次第にこのイデーに則って来るようになったのである)。

人格の自律の自由――意志の自由――はフィヒテによって行く処まで持って行かれる。彼によれば、世界は恰も自我――それが自律的な人格の基礎だ――の自由を実現させるために存在するのであり、又彼の哲学体系それ自身が自我の自由の自覚に行くために叙述されるのである。――だが彼の「哲学」によって解明された自由にも拘らず、彼が世俗的な問題に就いて示している実際上の自由概念は、決してそう自由で純粋なものではない。というのは、当時のドイツ民族特有な反フランス主義的な・排外的な・鎖国主義的国粋主義的な・見解が、夫を貫いているからである。ドイツ人は最も純粋なゲルマン民族である。なぜなら最も純粋なゲルマン語を保存しているから、とナポレオンに脅かされつつあるドイツ人に向かって彼はそう告げているのである(ヒトラーはユダヤ人排斥――実は賠償金踏み倒し――のためにこの故知をならっている。