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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
之は神学的自由である。懐古的な小ブルジョア反動分子のイデオロギーであるロマンティークの行きつく処は、文学的には中世的カトリックへの憧憬であったが、哲学的には神学へ赴かざるを得なかったのである。決してそれは偶然ではなかったのだ。
ドイツ観念論では、自由の概念は何より大事にされて来ているのだが、このドイツ観念論の総決算をなし遂げたように見えるものがヘーゲルであることは、述べる迄もない。従ってヘーゲルに於て、今まで述べて来た自由の諸概念が、夫々の位置を与えられて組み合わされているのに、不思議はない。――初期のシェリングに見出されるような芸術家的自由・個性の自由・は、ヘーゲルの自由に於ける一種のロマン派的契機の内に現われる。自由とはヘーゲルによれば、理性が自分自身と一つである事によって世界である、ということであり、又逆に世界が世界であるということの内に理性が成り立つ、という事である。ただシェリングと異る点はこの世界があくまで現実の世界であって、幻想の世界に近いものではないのであるが。自由は併し歴史的に実現されて行かねばならぬ。だから自由は又政治的自由でもなければならぬ。