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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

、数学式だけが残った、と。人々によれば空間化乃至幾何学化とは、物理学的対象の観念化だと云うのである。

だがこういう解釈――之は物理学が与える科学的結果自身ではなくて夫に就いての一つの理論的・哲学的・(?)解釈である――は全く物理的空間の概念に就いての無知から来る。人々は物理的空間を、何か直観空間(それは観念的と考えられた)又は幾何学的空間(それは思惟的である)と同一視する。そこで空間化(所謂幾何学化)とは要するに観念化だということになる。――処が実際は、物理学的対象の空間化は、空間の物質化でなければならない。そういう物質化され得る又は物質化された空間こそ、正に先から云っている物理的空間であり、その故にこそこの空間が他の二つの空間と異っていたのであった。物理的空間は、力の場(Feld)であり、物質である。と云うのはエーテルという概念がこの空間=物質の関係を云い表わすために再び取り上げられねばならないのだ。物理的空間は物質を完全に捨象した虚空間ではない、それは充たされた実空間(voller Raum)である。虚空間ならば物質と全く絶縁されている、物理的空間は、実空間であるから物質と連関し之と統一をなす。