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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
「芸術」1948(昭和23)年7月、9月、11月、1949(昭和24)年1月(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,030 字 · 139 页
そういうあらゆる種類の形式に対して、お父さん自身で癇癪を起しなさるのに、僕は同情と同感を持つよ。」
「御病気に対しても?」
「御病気というけれど、大したことじゃないだろう。小泉先生にはまだ診察をお受けにならないの。」
「はじめは、くわしく診察をして貰うつもりだと仰言っていらしたけれど、この頃では、も少しよくなってから診て貰うんだと、へんなことを仰言るのよ。」
「も少しよくなってから診て貰うって……それじゃあ、ほんとに御病気かなあ。」
そこで、話はとぎれた。戸外の暴風雨は、強まるとも衰えるとも分らず、ごうごうと荒れている。父も母も女中も、どこで何をしているのであろうか。応接室の片隅に寄り集ってる三人だけの世界が、他から切り離されて、ぼっと明るかった。
「こんどは、何をしましょう。」
八重子は不満げに、トランプとハナの札をいじくった。
「女たち相手ではつまらんよ。それよりは……。」
順一はウイスキーを飲んだ。がすぐに、また言った。
「ね、コリントをしない。あの方が嵐の晩にふさわしいよ。」
「ごろごろっと雷の代り。」と千重子が言う。「どこにあったかしら。」
「わたし知ってるわ。