轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

「芸術」1948(昭和23)年7月、9月、11月、1949(昭和24)年1月(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,030 字 · 139 页

青空文庫

二

二

菅原洋平が旅に出たまま、音沙汰なしに数週間経過したことは、松本千重子に不安の念を懐かせたが、他の知人たちにも、それぞれ、不吉な印象を与えたらしかった。――ところへ、天元社にいやな事件が起った。

天元社所有の印刷紙、時価にして凡そ五十万円ばかりの量が、ひそかに他へ転売されて不足してることが、発見された。如何にして何処でごまかされたものか分らず、よほど巧妙な手段がめぐらされたものらしい。――このことを知ってるのは、今のところ、発見者の営業主任とそれから社長だけだ。

天元社としては、五十万円ぐらいはなんでもない。然し事柄によりけりで、もし今後もこのようなことが起ると、その影響は測り知れないものがある。それかといって、やたらに社員の誰彼を疑うわけにはゆかない。

社長の佐竹次郎は、営業部と編輯部の重立った者を、一人一人社長室に呼んで、今後のことを注意してくれるように頼む形式で、それとなく探りを入れてみた。誰の様子にも、嫌疑をかける余地は見出せなかった。ところが、三四の者の表情や言葉尻に、へんに暗合するものがあって、犯人は分ってるが言えないということを推測させた。