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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
「芸術」1948(昭和23)年7月、9月、11月、1949(昭和24)年1月(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,030 字 · 139 页
七
外交官だが、ずいぶん官僚くさくなっている。」
菅原には判断のしようがなかった。だが、事実はともかくとして周の意見はじかに心に通ずるものがあった。周の方でも、或はそのことだけを目あての話だったのかも知れない。周は高らかに笑った。
「分ってくれるね。それでいいよ。」
周は握手を求め、乾杯を求めた。菅原は喜んでそれに応じた。
周の憤慨はそれで終り、あとはなごやかな談笑となった。菅原はすっかり酔い、おまけに満腹して、もう体を動かすのもいやになり、勧められるまま、泊ってゆくことにした。泊るとなれば、最初に言った通り、二三日は寝て暮したいのだ。彼はそれをだいたい実行した。そして眠ったり覚めたりしながら深い瞑想の中に沈湎した――その時の彼の思念を、次に聞こう。
七
俺の心の底に憂鬱や寂寥が濃く淀んでくるのは、何故であろうか。
それを乗り越えるための火山めぐりであったが。
阿蘇の噴火口から噴出し突き上げてくる白熱の溶液が、火口壁を越えるほどの高さで散って、美しい玉簾を宙に懸ける、それに見入っていると、妖しい戦慄が伝わってくる。轟々たる地鳴りや、呼吸を塞ぐ噴煙も、いつしか忘れられて、白熱の玉簾だけが眼底に焼きつけられる。