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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
「芸術」1948(昭和23)年7月、9月、11月、1949(昭和24)年1月(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,030 字 · 139 页
だからさし当っては、あらゆる方面での形式打破。そして更に本質的には、成年者排斥だ。それからまた、一層面倒なことが起ってきた。未成年者はこれから、驚異的に発達する科学を制御しなければならないから、人間としての深い智慧を持たねばならない。その智慧をどこに求めるかが、重大な問題だ。そんなことを僕たちは研究している。途方もない意見が出てくるよ。こんど会合に連れていってやろうか。傍聴者に門戸は鎖さないんだ。」
「会合の場所はどこなの。」と千重子が尋ねた。
「どこと定ってやしないよ。喫茶店のこともあれば、おでん屋のこともあれば、野原でやることだってある。ウイスキーが二三本あればいいんだからね。」
「まあ、あきれたものだ。」
「勿論、書斎でやることもあるよ。こんど、この応接室を使わして貰おうかな。」
「性格がないわよ。」
「野原だって性格はないさ。僕たちの会合にはその方がいいんだ。」
「いつかのお集りはそうだったの。」と八重子が言った。「ずいぶんおかしかったわ。」
「何が?」
「山男のお話。」
順一は怪訝な眼付をした。
「山奥で山男に出逢ったとかいう……。」
「あ、あれか。帆刈の話だから、当にはならないがね。