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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

といいだした。

「しかし後一日二日のごしんぼうでしょう?」

と正三君は同情しながらはげました。

「今日は神経をぬくんだからね」

「神経をぬいてしまえばもういいんです」

「きみは僕の神経だと思ってそんな平気なことをいうんだよ」

「そんなに痛いものでしょうか?」

「痛いとも。頭を持っていかれてしまいそうだ。きみは歯医者にかかったことはないのかい?」

「ありません。歯は丈夫です」

「犬のようだね」

「おやおや」

「うらやましいんだよ。家のものはみんな歯がわるい。お母様なんか入れ歯だぜ」

「そうですか?」

「けれどもこれは内証だよ。柳田だってわきへしゃべられないようにいいつけられている」

「おやしきの歯医者は柳田さんだけですか?」

「もう一人あるけれど、柳田の方が近いからね。それにもう一人の歯医者は、痛いのがあたりまえだなんていったものだから、お母様の信用がなくなってしまった」

「それじゃ柳田さんの方が痛くないんじゃありませんか?」

「痛いよ、やっぱり。柳田はやしきへきた時だけ痛くないようなことをいうんだ。家ではちっとも遠慮しない。こういう時だと思ってわざと痛いことをする」

「まさか」