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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

と判断を求めた。

「どうせ忠義ついでだ。及第落第は運を天にまかせて、若様の下になるのが家来の分だろう。仕方がない」

とお父さんはかんたんだった。

「その手かげんがむずかしいんです」

と正三君はよわっている。一番で及第するのよりもビリで落第しない方が曲芸としては一段の工夫を要する。

「そこはわしが計らってやる」

「どうなさいますか」

「校長さんにお目にかかって頼んでやる。お前の成績が一番でも二番でも席順だけは若様のつぎにしてもらう」

「そんなことができるでしょうか?」

「できるとも」

「できませんよ、お父さん」と祐助君が口を出した。

「なあに、伯爵家から頼みこむ。あすこの校長さんはおくさんが旧藩士の親戚になっている」

「そんな昔の関係が通用するものですか。学校には規則があります」

「まあまあ、お前はだまってきいていなさい」

とお父さんは祐助君を制して、

「正三」

「はあ」

「若様とお前と二人とも及第しても、お前が上で若様が下なら、お前が若様を引きあげる形になる。しかしお前が下で若様が上なら、お前が若様を押しあげる形になる。臣としては君を引き上げるよりも押しあげる方が礼にかなっている」