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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「そこへもってきて、きみは万事において若様に花を持たせなければいけないって安斉先生がおっしゃるんです。若様よりも下になれってことに相違ありません」

「なるほど。わからず屋がそろっている」

と祐助君は思案にあました。

晩ご飯にはお父さんも帰ってきてまた話に花が咲いた。

「正三はおやしきにご奉公しているだけあって言葉がよくなった上におとなびてきたよ」

とお父さんも気がついた。

「それがいいことかわるいことかわかりませんよ」

と祐助君がいった。お学友に出すのは反対だったから、ついそれが出たのである。しかしお母さんはお父さん同様、

「不足をいうと罰があたりますよ。なにしろお殿様から毎日じきじきにお言葉をいただくんですからね」

とありがたがっている。

「それではお母さんはおトンカチってものをご存じですか?」

と祐助君がきいた。

「おトンカチ? そんなもの存じませんよ」

「かなづちのことです」

「へええ」

「そのおトンカチで正三は頭をぶたれるんです」

「ばかなことをいうなよ」

とお父さんが取りあげなかったので、祐助君は正三君の立場を説明した。

食後、正三君は、

「今兄さんがおっしゃった試験のことですが、お父さん、どういたしましょうか?」