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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
おすぎは一時叔父の許に身を寄せて、叔父が町の映画館の中に出している売店の売子をしていた。その頃芳三と知りあった。芳三は帰還したばかりで町の運送屋に勤めてオート三輪車の運転手をしていた。きっかけは始終映画を見にきていた芳三がある日おすぎに話しかけたのである。間もなくおすぎは芳三に唆されて叔父の家を出た。ひとつは同年輩の従姉妹との間がうまく行かなくて叔父の家も居辛かったのである。芳三に連れられて、砂川、追分と近間の町を転々としてそして夕張にきた。岩見沢には芳三の父親がいたが、しかし今日、芳三に死なれたからと云って、頼って行く気にはなれなかった。
「でも順さんもよくこんな炭坑なんかに来る気になりましたわね。」
「だってどうにもしようがなかったんですよ。あちこちに不義理だらけで。」
と順吉は吐き出すように云った。自分の過去に対して疚しさといまいましさを同時に感ずることがある。そういうとき順吉は自分をひどく人と変った者のように思い込んだりする。自分にはなにか欠けているものがあるのじゃないかしら。人と人とを結ぶ心の靭帯のようなものが。自分には小さいときから親がいなかったからなどと思う。