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せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
誰かがしっと云う。
この時純一は、自分の直ぐ傍で、幹事を取り巻いて盛んに議論をしているものがあるのに気が附いた。聞けば、芸者を呼ぶ呼ばぬの問題に就いて論じているのである。
暫く聞いているうちに、驚く可し、宴会に芸者がいる、宴会に芸者がいらぬと争っている、その中へ謂わば tertium comparationis として例の学生諸君が引き出されているのである。宴会に芸者がいらぬのではない。学生諸君のいる宴会だから、芸者のいない方が好いという処に、Antigishaisme の側は帰着するらしい。それから一体誰がそんな事を言い出したかということになった。
この声高に、しかも双方から ironie の調子を以て遣られている議論を、おとなしく真面目に引き受けていた曽根幹事は、已むことを得ず、こういう事を打明けた。こん度の忘年会の計画をしているうちに、或る日教育会の職員になっている塩田に逢った。塩田の云うには、あの会は学生も出ることだから、芸者を呼ばないが好いと云うことであった。それから先輩二三人に相談したところが、異議がないので、芸者なしということになったそうである。