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せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
しかしどちらも如才なさそうな様子をして、目にひどく融通の利きそうな ironique な閃きを持っている。「こんな事を言わなくては、世間が渡られない。それでお互にこんな事を言っている。実際はそうばかりは行かない。それもお互に知っている」とでも云うような表情が、この男の断えず忙しそうに動いている目の中に現れているのである。
「芸者かね。何も僕が絶待的に拒絶したわけじゃあないのです。学生諸君も来られる席であって見れば、そんなものは呼ばない方が穏当だろうと云ったのですよ」塩田は最初から譲歩し掛かっている。
「そんなら君の、その不穏当だという感じを少し辛抱して貰えば好いのだ」と、偽善嫌いの男が露骨に出た。
相談は直ぐに纏まった。塩田は費用はどうするかと云い出して、一頓挫を来たしそうであったが、会費が余り窮屈には見積ってない処へ、侯爵家の寄附があったから、その心配はないと云って、曽根は席を起った。
四五人を隔てて据わっていた瀬戸が、つと純一の前に来た。そして小声で云った。
「僕のような学生という奴は随分侮辱せられているね。さっきからの議論を聞いただろう」
純一が黙って微笑んでいると、瀬戸は「君は学生ではないのだが」