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たかしまいし
高島異誌
国枝 史郎
「講談雑誌」1924(大正13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,007 字 · 26 页
子供を集めて、古えの名賢の言行などを、読み聞かせ居る次第にござりますが、「童子教」という、古来よりの著書、覚え易く又教え易き為、子供に読ましめ居ります所、内容余りに僧家の事のみ多く、且、如何わしい説なども有って、聖賢の名著とは思われず、此儀如何にござりましょうか?」
「左様、名著ではござらぬの。取るにも足らぬ俗書でござる」
僧は言下に弁えたが、
「とは云え此書著名と見え、早く唐土にも渡り居り経国大典巻の三に「倭学に在りては童子教庭訓往来こそ最も優れ……」と、既に申して居るとこを見ると、俗間の書としては久しい間、行われて居たものと思わるるよ」
純八、松太郎の二人の者は愈々心に驚いて、益々僧を尊敬したが、分けても純八は学問好きの為めか僧を懐しくさえ思うようになった。
で、松太郎の帰った後、尚何時迄も引き止めて、更に様々問答したが、永い六月の日も暮れて点燈頃になったので、俄に僧は立ち上がり謝辞を述べて帰えろうとした。と、困難の修行の旅が老齢の彼を弱らせてたものか、我破と縁先へ転って、口から夥しく穢物を吐いた。
「や、これはご病気と見える。まずまず座敷へお這入りなされて暫くご安臥なさりませ」