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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《土曜夫人(どようふじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,903 字 · 213 頁

青空文庫

九

いや、京吉が土曜日すら清潔だと勘でかぎつけていたように、春隆――この乗竹侯爵の次男坊も、背中へ廻した手の感触で、この女はまだ一度も体を濡らしたことはないと、改めて直感すると、

「今夜こそこの女をどこかへ連れて行って……」

という想いに心も弾むのだった。

ついて来ればあとは自信はあるが、果してついて来るかどうか。いや、もしおれがとって置きの一言を言えば、もうおれの誘いを断り切れまい! その一言、春隆はいきなり言った。

「君、学習院の女学部だろう。そうじゃない……?」

「えッ……? はあ、いいえ……」

狼狽して、ターンした途端に、ホールの入口に佇んでいる京吉の姿が陽子の眼にはいった。陽子はどきんとした。

九

丁度その時、上海帰りのルミというダンサーが、自分と踊っていた闇ブローカーの浜田のでっぷり肥えた背中が、陽子につき当ったので、

「阿呆! シミイダンスの尻ばっかし振ってるさかい、衝突するねンし。プロ!」

プロちゃんで通っている浜田を、すれっからしの口で叱り飛ばしたが、その言葉は陽子の耳にははいらなかった。

それどころではなかった。春隆の思いがけない一言! そして京吉の顔色!