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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《土曜夫人(どようふじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,903 字 · 213 頁

青空文庫

三

だけど、あとの一枚は……?」

「どうせママのことだから、途中で一風呂浴びてということになるんじゃない……? 誰か連れて行くでしょう」

「ばかね」

「エーヴリ・ナイト!」

「何よ。それ。エーヴ……。歯むき出して!」

「うふふ……。ママのことよ。今でもそう……?」

「ばかッ!」

応接間で話しているのは、貴子と、東京から来た貴子の友達であろう。やがて話声が聴えなくなった。貴子は二階へ上って行ったようだった。

「侯爵のところだな」

章三の眼は急に輝いた。昨夜春隆のところへ来ていた陽子!

十分ばかりして、貴子は章三の寝ている部屋へはいって来た。

三

「あら。もうお眼覚め……?」

「うん」

章三は腹這いのまま、手を伸ばして、煙草を取った。

「ライター……?」

貴子がダンヒルのライターをつけようとしている間に、章三はもうマッチを擦っていた。ダンヒルのライターには、マッチを擦った時のぽっと燃える感じがない。それがいやだという章三の気持の底には、貴子と陽子の比較があった。

魅力という点では、陽子は魅力の乏しい女だ。逆立ちしたって、貴子ほどの魅力は出て来ない。陽子がどれだけ処女の美しさに輝いていようと、高貴な上品さを漂わしていようと、教養があろうと、知性があろうと、一日一緒におれば、退屈するだろう。