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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁

青空文庫

「お次ではどうだ。なお、まずいか」

「貴公まで、からかってはいけない。わざと、ここ数日は、入り浸ッて見せたが、石焼豆腐のむすめになど、心まで許しているわけじゃない」

「……おや?」と、そのとき、義平太は、あたりの河柳を見まわして、

「たれか、泣いたような声がしたとおもうが、おれの耳のせいか」

と、耳をすまし、そして、ふいに、うしろの樹蔭へ立って行った。

「あ。お次さんだ……左右太、お次さんが、こんな所で、いまの貴様のことばを、立ち聞きしていたのだ」

「いつのまに?」

と、左右太は、当惑そうな顔をした。だが、かの女へ頼んでおいた紙片に、ここの場所を書いておいたことをおもえば、お次が、それを読んでいて、義平太のあとから、そっと来ていたことも、娘心として、そう驚くほどなことでもない。

いや、義平太は、むしろそれを友のためにも、これからのある策の上からも、好都合だとよろこんだ。

「お次さんの気性もわかっている。あれを、打ちあけてやってもいいだろう」

義平太はいったが、左右太は、さあ? と、考えこんで、

「女は、口がかるいからなあ」

と、難色をみせた。

お次は、信じられない自分を、恥じるように、ただ泣いていた。