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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁

青空文庫

「…………」

越前守がそれに坐ると、日頃にしてもそうだが、きょう特に、静粛な――というよりは、もっときびしい、法廷のもつ一種の神聖が、人々の気をひきしめた。

白洲には、一人の女性が、縄付のまま、据えられていた。

いうまでもなく、お袖である。

縄取の与力は、山本左右太。控え同心には、今夜の宿直の岡弥一郎、桜間勘八、狩野右馬吉、石原十蔵、舟崎曾兵衛の五人が詰め、白洲木戸には、陸尺たちの影が大勢見られた。

また小林勘蔵は、目安席に。書記の机には市川義平太が着席し、なおその与力席に、上杉政形、加藤直枝など三、四名も居並んでいた。

仮吟味とはいえ、日頃の白洲にもまさる物々しさである。――越前守は、それらの奉行所付きの所員のほかに、なお、見かけない二名の武士が、奉行席から一段低い所に坐っているのを眺めて、

「あれは、誰か」

とでも訊ねているのか、目安の小林勘蔵へ、何か、小声を向けていた。

「……?」勘蔵にも、分らないらしく、小首をかしげて、横の義平太の机へ、囁きを伝えた、が、義平太も、不審な顔をするだけだった。

――と見て、反対側の与力席から、加藤直枝が、越前守へ向って、