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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁
彼女の決戦
「瓦版瓦版。――さあ、たったいま刷り出した大椿事の瓦版じゃ。高札斬りの曲者は、召捕られましたぞ。しかも、女自雷也と名乗る稀代な女賊じゃ。南町奉行所のお手にかかって、近いうちには、獄門でお目にかかれましょうぞ。……サア瓦版瓦版。ところが、その女賊と、南の大岡越前様とは、むかしむかしの恋仲であったとかなかったとか、近頃、ありもしない噂も飛んでいるとやらいないとやら。サアサア瓦版。火のない所に煙が立ったか。煙の立つところに火があったか。瓦版は十文、たッた十文。さあ、読んでごろうじ、読んで御ろうじ」
彼女の決戦
噂は、一日のまに、江戸中にひろがった。
瓦版の呼び売りは、うまく逃げて書いているが、噂の根は、突いている。
「北町奉行の手輩が、さかんに、いっているんだから、嘘ではあるまい」
市民は、そういい足して、いい伝えた。これも、事実に近そうである。
何しても、お袖の逮捕をきっかけに、これまでは、南北両奉行の間にも、暗闘として、伏せられていた事件の全貌が、白昼の話題にされ、五人組強盗の始末から、高札斬りの下手人、そして、越前守個人の過去につながるすべての問題まで、余すところなく、世間の耳に伝わった。