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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁
今朝の秋
ほんとうの幸福とは、多くの場合、他の者の幸福の中に、自分の幸福を見出すのでなければ、完全なそして長い人生の果てまでの幸福にはならないらしい。
お縫の場合は、作為や無理な闘争によるものでなく、自然のままに、かの女の思いがかなったのである。それにしてすら、幸福は、一方に絶対な不幸の人間が作られる場合には、勝者の幸福をもたえず妨げて心から楽しませない。
今朝の秋
その夜の団欒は、水入らずだった。例を破って、食膳は、病妻の枕元に運ばれ、子等を交じえて、灯影も賑々と、一しょに喰べた。
子どもらは、はしゃぎ抜いた。越前守は、独り酒を酌んで、ほの紅い微酔を見せ、妻には、良人として体を、子等には、父として体を、
(おまえたちの、ものだぞ)
と与えきって、なすがままに委せた。
肩にのり、膝にもたれ、子等は、自分たちの父を、意志のまま弄ったり愛撫したり、容易に寝つこうともしなかった。病める妻は、良人が案じるので、いわるるまま、仰臥して、その父と子をほほ笑みで見ていた。
けれど、お縫は、越前守が、何で突然、この一夜を家に帰って来たか、余りにも、良人の気もちが分っていた。