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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

「外へ、どなたかおいでになっています」

「何ですか」

「今、あちらの方の山を越えて、この宿へ参った方がございます、その方が、戸外で御案内を乞うておりますよ」

「そんなはずはないよ」

と言っている途端に、表の戸をドンドンと叩く音がしました。

音がして、はじめて炉辺の一同がそれを合点したので、弁信のは、それより以前、話半ばで、そのことを言ってしまったのです。そこで一同が、なんとなくぞっとしました。

「誰だい」

「ええ、わたくしでございます、夜分おそくなって相済みませんが」

「わたくし……と言ったって誰だね」

一同は不審です。この夜中に、このところへ、外から来るべき者の予想は全くなかったことで、内から出て行って、戻って来たという面ぶれの欠員もなかったからです。そこで、さすがに一同は、ゾッとしていると、弁信が抜からぬ面で言いました、

「あ、あれは久助さんですよ」

「ええ」

「久助さんが来たのです」

「久助さんが?」

一同は、外の久助なる者のために戸をあけてやるよりは、内なる弁信の面を、見直さないわけにはゆきません。

そのわけは、久助はたとえ夜中に、不意にやって来たとはいえ、この連中にとって、充分に予備知識のある名前ですけれども、ここへ、風来に飛び込んで来たこの小坊主が、どうして久助の名を知っている?