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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

三十七

三十七

その翌早朝、飛騨の高山の上下を震駭させる一事件が起ったというのは、中橋の真中に人間の生首が一つ転がっているということを、朝がけの棟梁が弟子を引連れて通りがかりに発見したというのが最初です。

これが、京、大阪、江戸あたりの今日この頃ならば、生首の二つや三つ転がっていたからとて、そんなに驚くがものはない時節柄ではありますけれど、何をいうにもここは都塵を離れたる天地の、飛騨の高山の真中のことですから、その上下を震駭させて、凄惨なる人気をわかしてしまったのも無理はありません。

右の生首は、このところで討ち捨てたものではない、よそから持って来て捨てたものであろうと思われる証拠には、その近所に、これにつながるべき胴体が発見されないことで、首だけが無雑作に投げ出されてあることの理由はよくわからないのです。

これが、前に言う通り、昨今の京洛の本場であってごろうじろ、たとえ一箇にしろせっかく取った生首を、こんなに不経済に扱うはずはない、必ず相当の勿体をつけて、足利三賊の首、斬って以て征夷の軍門に供えるとかなんとか、物々しいスローガンをくっつけて、時代の感情に当て込むに相違ないが、そんな芝居気は一向なく、惜気もなく抛り出してあるということが、疑問といえば疑問です。