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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

五十五

「御免あれ」

こう言い捨てて仏頂寺、丸山は、煙の如く闇の中をすり抜けて、高山方面へ戻り行くもののようです。

あとで、駕籠屋に向ってお蘭が駕籠の中から言いました、

「下呂の湯までずっと通したいのですが、途中、小坂の問屋へちょっと寄って下さい、頼みます」

「承知いたしました」

難なく二個の駕籠は、ここで宿次の形になって、まだ明けやらぬ森林の闇に向って飛ばせるのです。

五十五

小坂の町に黒川屋という大きな中継問屋がありました。

これは大きくいえば飛騨一国の物産を他国に出し、また他国の物資を飛騨に入れる会所であって、矢田権四郎がこれを司っている。

従ってそれに相応する店の構えと、百数十の人馬が絶えず出入りして、店頭はいつも賑わっている。主人に代って若いおかみさんが帳場に坐って、帳面をひろげ、筆をとっている。この若いおかみさんは、主人不在の時は主人に代って帳場を司っている。

そのおかみさんが今、店頭の賑わいを前にして帳合をしている横の方から、若い女中が一人出て来て、おかみさんに向って私語きましたから、おかみさんが、

「なに、ちょっと内証で、わたしに会いたい人が中庭に来ていますって……」