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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁
それでも、姿勢は棒立ちになった心持。
松の立木と、萩の下もえとを間にして、その間約半丁――
いかに白雲が、好意を示し、小手招きをしても、娘は近寄らない。この間、しばし。
やがて、三足、四足と、急速に踵を返すと、まっしぐらに、身をねじ向けた娘、そのまま真一文字に、もと来た道へ馳せ下ってしまいます。その、処女にして同時に脱兎の如き文字通りの退却ぶりを見て、白雲はあいた口がふさがらないのです。
だが、その心持と、進退のほどはよくわかる。申すまでもない、恐怖がさせた業で、彼女の恐怖の的となっているのは自分――男性でさえ、この御面相ではかなり避けて通すことになっているこのおれというものに、この時節、こんなところで、不意に呼びかけられて、あの態度を取ることは、先方の身になってみれば、ちっとも不思議ではない。
しかし、気の毒な思いをさせた。こちらは、不意に出逢わせてはかえって虫を起すだろう、ワザと遠くから予備意識を与えて、この自分というものが、見かけほどに怖ろしい男ではない、という諒解を与えておこうとした好意が、かえって仇となって、娘を逃がしてしまった、気の毒なことをしたよ――と苦笑しながら、その逃げ去ったあとを見つめると、何か落しものをしている。