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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

「お前はこの店の掛りかい」

不意に言葉をかけられたので、お雪ちゃんはうろたえ、

「いいえ――」

その返答ぶりだって、近在の山奥から出て来た娘ではない。

「どこだい」

「はい」

お雪ちゃんは返答に窮してしまったが、折よくそこへ来合わせた兵隊が一人、

「もはや、あの農兵の組合せが出来上りまして、いつにても調練の御検閲をお待ち申しております」

「ああ、あの農兵の調練か、この足で出向いて行く、御苦労御苦労」

お雪ちゃんを見ていた新お代官は、この兵隊の復命を聞くと頷いて、前へ歩み出しましたが、どうも横目でじろじろとこちらを見ていられるようで気味が悪い。

それでもその場はそれだけで、何のこだわりもなく、市場は以前のような喧噪と雑沓にかえり、お雪ちゃんは首尾よく手頃のお頭附きを買って家へ帰りました。

帰ってみると、何にするためか、碁盤を前にして、紙を畳んでは刻み、刻んでは畳んでいるところの竜之助を見ました。

お雪ちゃんはいそいそとして、買い調えたものの料理にかかり、それより適当の時間に、やや早目な晩餐が出来上り、やがて睦まじく膳を囲みました。

お祝いが済むと、また緊張しきった気持で新しい仕事にとりかかる心持まで、充実しきっておりました。