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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁
件の武士は、ここまで一気に雲煙を飛ばせて来たが、ここへ来ると、ピッタリ筆をとどめて、
「まだ、あとがあるのだが、未完稿として、これで筆をとめておく」
と言いながら、同じ筆で、そのわきへ「湖海侠徒雲井竜雄題」と小さく書きました。
これが落款のつもりでしょう。「湖海侠徒雲井竜雄」というのが、この男の好んで用いる変名であろうと白雲が考えました。
そうして見ると、この雲井竜雄という名が、この青年には、いかにもふさわしい命名であるように思われてくる。
主人は、先刻から米沢藩士児島某と紹介していたが、自分で名乗るところでは雲井竜雄だ。それは自己命名か、由緒あるところの雅号かなにか知らないが、この男には、たしかに児島なにがしよりも、ここに記した雲井竜雄の名がふさわしいと、白雲が微笑して納得してしまいました。
そうとは知らず、昂然として、筆を置いた児島なにがしこと雲井竜雄は、またもとの座に直ったが、不出来ともなんとも申しわけをするのではなく、自分の書いた賛を七分三分に睨みながら、主人の捧げる杯を取り上げました。
白雲が、そこでなんとなく、いい心持に、持前の喧嘩腰を発揮しようとします。