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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

五十三

彼等はもう、走りさえすればよいと考えているのでしょう。行先地の目的なんぞは、走り疲れた上で尋ぬべきことだとでも思っているのでしょう。

無性に飛んで、久々野に近いところでしょう、左に社があって、右は崖路になっていて、その周囲いっぱいに森々たる杉の木立をつき抜けて走りました。

「おい、待て、その駕籠!」

木立の前から鋭い声がかかったので、駕籠屋どももそれには胆を奪われないわけにはゆきません。

「待て!」

ひた走りの八本の足が、ぴったりと急ブレーキで止まりました。

闇の中、行手に立ち塞がったのは、一人は雲つくばかりの大男で、一人は中背の一書生でした。

「まだこの通り夜も暗いのに、どこへ急ぐのだ」

「はい、はい……」

駕籠屋は早くも歯の根が合わないようです。

「怪しい乗物と認めたぞ」

「いいえ、どういたしまして」

「行先はドコだ」

「出発点はいずれだ」

前に立ち塞がってこもごも詰問する二人の高圧には、駕籠屋は、もう駕籠を地べたへ伏せて、すくんで尻ごみの体です。

これは尋常出来星の追剥の類ではない、前の逞しいのは、すごい両刀をたばさんでいる、それに附添うたのもかいがいしい旅姿で、それだけでも雲助四人の手には合わないことはわかっている。