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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁
六十一
六十一
駒井甚三郎の無名丸が今、北緯――度、東経――度あたりの海を北へ向って走っている。
日本内地の地点からいえば、それは鹿島洋を去る遠からず、近からぬところあたりであろうと思われるが、この船の上では、陸地はいずれの眼界にも見られない。見渡す限りの青海原で、他の船の帆の影さえ一つも見えない。見えるものは、空と、雲と、水と、それから空を飛ぶ信天翁と、鴎だけのものです。
しかし、天気は穏かで、海は静かなものなのです。静かだといっても、時々ローリングというやつがやって来て、慣れない船客の足を悩ますことはあるが、それもその心得でさえあれば何のことはないのです。
今、無名丸の――まだこの船には名がついていないから、これは駒井甚三郎が、田山白雲に諮って適当な名乗りを選択してもらうはずでしたが、白雲を待ちきれないうちに船が出てしまったものだから、当分は無名丸――で置くことにしました。この無名丸のメーンマストの下には、柱を囲んで幾人かの人が嬉々として語り合っているのを見ます。
それを数えてみると、お松がいる、金椎がいる、乳母が登を抱いている、茂太郎がここでも般若の面を放さないでいる、それとマストの前にはマドロス君が頑張っている。