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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

ことに薩摩がいけない。長州は国を賭して反幕の主動者となっているが、そこへ行くと薩摩は、国が遠いだけに、長州よりも隠身の術が利く。長州は幾度か国を危うくしたが、薩摩はそんな危急に瀕したことは一度もなく、そうして威圧のきくことは無類である。この両藩が中心となって末勢劣弱の徳川家を、有らん限りの横暴と、陰険とを以て、いじめている――と、雲井なにがしは誰もが見るように見ている。

ところで、その徳川家の、征夷大将軍の威力も明らかに落ち目で、盛衰消長はぜひなしとするも、それにしても歯痒すぎる――と、雲井なにがしは自分のことのように憤慨する。

徳川氏、政権をとること三百年、士を養うこと八万騎、今日この頃になって、ついに一人の血性ある男子を見ることができない。雲井なにがしはそれを切歯している。その点から見ると、明らかに徳川方の贔屓であって、薩長の横暴陰険を憎んでいる。ただ、徳川に贔屓するのが、いわゆる、佐幕論者とは、全く調子も、毛色も、変ったものであることを認めないわけにはゆかない。この男は徳川の恩顧を蒙り、或いはその知遇に感じ、以てその社稷を重しとするのではない、薩長が憎いから、徳川に同情するのである。