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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

危急の場合にはどうしても女は女で……と感ずると共に、男である以上は、こんな不自由な身であっても、胆の据え方というものが違うのじゃないか知ら――とお雪ちゃんは、今更のようにそんなことを感じ、一時、こんな気持でボンヤリしましたけれども、いつまでもボンヤリしている場合ではなし、

「では、先生、一走り行って参りますから」

と、三たび暇乞いの言葉を残して行こうとしますと、竜之助が、

「お雪ちゃん――草履をはいておいでなさい」

と心づけてくれました。

「まあ」

そんなこと、細かいことまでわかるのかしら……お雪ちゃんは、眼のあいた人と、眼のあかない人との地位が、顛倒しているのではないかと思いました。

二十九

そうして置いてお雪ちゃんは、再び火事場へ取って返しました。

たいした風はなかったのですけれども、乾ききっていたところへ、消防の手が不足のせいだったのでしょう、火勢はいよいよ猛烈で、ほとんど手のつけようがない有様でした。

橋を渡って、火が対岸へ燃えうつろうとしているのを、必死で支えるだけが消防隊のする全力の仕事のようでした。

ですから、ほとんど火事場へは寄りつけない、のみならず、火を避けようとして、逃げ出す人波と、荷物とに押されて、空しく押し戻されるよりほかはありません。