輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《松のや露八(まつのやろはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,597 字 · 253 頁

青空文庫

「おや?」

酒の肴はあるものである、生きものらしいものは、犬ころも見えなくなったこの家に、鶯が、どこかで、啼きぬいているのだった。

楼主の飼っていた鶯らしい。露八は、お内緒をのぞいてみた。障子張りの鶯籠が、道具のない部屋に寒そうに置き忘れられてあった。飢えに迫った鶯は、人間の薄情さを、恨んで啼いているのだと、露八は思った。

廊下の隅に、摺餌の道具も、蹴ちらしてあった。露八は、鶯のために、餌を摺っていた。

すると、裏口から、槍の頭が見えた。烈しい声や跫音が、すぐ、表からも土足で上がって来た。大坂城詰の幕兵が、検察に廻ってきたのである。

一人が、露八の服装を見て、

「官兵だっ、生擒れっ」

と、云った。

「ちがう」

露八は、摺餌の乳鉢を持ちながら立ち上がって答えたが、それを叩き落とされて、

「放火隊の一人だろう」

ねじ上げられて、往来へ、突き出された。往来には、幕兵が、密集していて、

「間諜だな、この野郎」

「縛れっ」

「縛には及ばん。すぐ首だ首だ。空地まで引っ立てろ」

六、七名の幕兵が、彼の左右から腕をつかみ、背中を突いて、廓外へと、追い立てた。

「待ってくれ」

露八は、何か思いだしたように、突然、暴れだして、