輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《松のや露八(まつのやろはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,597 字 · 253 頁

青空文庫

二

「さ、いらっしゃいよ」

「む?」

彼は、臆病な自分の足へ、力みを入れて、一つ、強く踏んだ。

「参ろう。自身で会おう」

その肩が、見えない妖霊へひとりで強がっているようで、お蔦は、おかしかった。

「ま――大変な権まくね」

笑いながら、煤ぐろい玄関の式台を、先に上がって、自分の家みたいに、

「用人も、誰もいないんですから、どうぞ、ずっと」

「ではご免――」

腰の刀を、手に、草履をぬいで、上がりかけたのである。すると、お蔦の後ろに、青々と剃り上げた講武所びたいと、するどい眼をもった健吉の顔が、いつの間にか、立っていた。

「あ……」

思わず、またしても、臆病な腰が、後へ、身を退きかけると、

「やあ、土肥先生」

体力的で、快活な声を、頭から浴びせるように、健吉が、云った。

「よく来たな、上がりたまえ」

二

「肌でも脱がんか」

「はっ」

「この暑いのに、そう、堅くなっておられちゃ、こっちも暑い。膝をらくにしたまえ」

「はっ」

庄次郎は、虚勢も持てなかった。

伊予絣に、石帯の結び目を、すこし横っちょにして、榊原健吉は、涼しそうに胡坐をくんだ。

「君は、入江達三郎の弟子だそうだな」

「はい」